IT用語

基本設計書

基本設計書は、システム開発において重要な役割を果たす文書で、システムの全体像や基本的な動作を具体化するために作成されます。以下に、基本設計書の詳細について説明します。

基本設計書の目的

基本設計書は、要件定義で決定されたシステムの機能や要件を具体的に反映し、システムの外部設計を行うための文書です。これにより、クライアントと開発チームの間で認識を共有し、システム開発の方向性を明確にします。

基本設計書の構成要素

基本設計書には以下のような内容が含まれます:

  1. システム概要: システムの目的、対象範囲、特徴を簡潔に説明します。
  2. アーキテクチャ図: システム全体の構造を示す図で、ハードウェア、ネットワーク、ソフトウェア構成を含みます。
  3. 機能仕様: システムが提供する機能のリストと詳細な説明を記載します。
  4. ER図: データベース設計を示す図で、エンティティやリレーションを図示します。
  5. ビジネスロジック: システム内で実行される業務ルールや計算ロジックの詳細を記載します。
  6. ユーザーインターフェース: 画面レイアウトや操作方法を示す図や説明を含みます。
  7. セキュリティ要件: 認証・認可設計、データ保護の方法などを記載します。
  8. インフラストラクチャ: ネットワーク構成図やサーバー、ストレージの配置を示します。
  9. 外部インターフェース: 外部システムとの連携方法やインターフェース仕様を記載します。
  10. テスト要件: テスト項目や進行方法、合格基準を記載します。
  11. 変更管理: 変更履歴や変更プロセスを記録します。

基本設計書の作成ポイント

  • 要件定義の反映: 要件定義書を正確に反映し、クライアントの要求を具体化します。
  • 視覚的な表現: 図表を活用して視覚的にわかりやすく伝えます。
  • 誰にでも理解できる表現: クライアントやエンドユーザーが理解しやすい言葉で記述します。

基本設計書と詳細設計書の違い

項目基本設計書詳細設計書
目的システム全体の概要を定義し、要件定義を具体化すること。基本設計を基に、システムの各部分を具体的に設計し、実装可能なレベルまで落とし込むこと。
内容システムの全体像、主要な機能、システムの構造、ユーザーインターフェースの概要など。プログラムの構造、データベース設計、モジュール設計、インターフェースの詳細、処理フローなど。
対象者クライアントやプロジェクトマネージャーなど、システムの全体像を把握する必要がある人々。開発者やエンジニアなど、実際にシステムを構築する人々。
抽象度システムの全体像を大まかに示す。基本設計を基に、具体的な実装方法を詳細に記述する。
具体例機能一覧表、業務フロー図、データフロー図、画面設計図、インターフェース設計図など。モジュール設計書、データベーススキーマ、API仕様書、詳細な画面設計図、テストケースなど。
内容の深さ「何を実現するか」を定義し、システムの全体像や主要な機能を記述する。「どうやって実現するか」を定義し、具体的な実装方法を詳細に記述する。

仕様書と設計書の違い

項目仕様書設計書
目的システムや製品の「何をするか」を定義すること。システムや製品の「どうやって作るか」を定義すること。
内容機能、性能、制約条件など。構造、動作フロー、データの流れ、具体的な実装方法など。
対象者クライアント、プロジェクトマネージャー、ステークホルダーなど。開発者、エンジニアなど。
抽象度高い(全体像や要件を示す)。低い(具体的な実装方法を示す)。
具体例機能仕様書、性能仕様書、要件定義書など。基本設計書、詳細設計書、データベース設計書、API仕様書など。
内容の深さ「何を実現するか」を定義し、システムの全体像や主要な機能を記述する。「どうやって実現するか」を定義し、具体的な実装方法を詳細に記述する。

基本設計書は、システム開発の初期段階で作成され、プロジェクトメンバーが共通の理解を持つための重要なドキュメントです。これにより、開発中のミスや手戻りを減らし、効率的なシステム開発を実現します。

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