IPsec(Internet Protocol Security)は、インターネット上で安全な通信を実現するためのプロトコルスイートです。IPsecは、データの暗号化と認証を行うことで、データの盗聴や改ざんを防ぎます。
仕組み
IPsecは、OSI参照モデルのネットワーク層(第3層)で動作し、以下の主要なプロトコルを使用します:
- ESP(Encapsulating Security Payload):データの暗号化と完全性検査を行います。これにより、データの盗聴と改ざんを防ぎます。
- AH(Authentication Header):データの完全性検査のみを行います。暗号化は行わないため、主にデータの改ざん防止に使用されます。
モード
IPsecには、以下の2つの動作モードがあります:
- トランスポートモード:エンドポイント間で直接暗号化と復号化を行います。主にホスト間の通信に使用されます。
- トンネルモード:パケット全体を暗号化し、新しいIPヘッダを付加します。主にサイト間VPNやリモートアクセスVPNに使用されます。
IKE(Internet Key Exchange)
IPsecのセキュリティアソシエーション(SA)を確立するために、IKEプロトコルが使用されます。IKEは、暗号化アルゴリズムや認証方法をネゴシエートし、セキュアな通信を確立します。
利用例
IPsecは、以下のような場面で広く利用されています:
- サイト間VPN:企業の拠点間を安全に接続するために使用されます。
- リモートアクセスVPN:リモートワーカーが安全に企業ネットワークにアクセスするために使用されます。
メリットとデメリット
メリット:
高いセキュリティ:データの暗号化と認証により、盗聴や改ざんを防ぎます。
汎用性:ネットワーク層で動作するため、上位層のプロトコルに依存しません。
デメリット:
設定の複雑さ:設定が複雑であり、専門知識が必要です。
パフォーマンスの影響:暗号化と復号化の処理により、通信速度が低下することがあります。
IPsecは、インターネット上での安全な通信を実現するための重要な技術です。