OSコマンドインジェクションは、Webアプリケーションの脆弱性を利用して、攻撃者が不正なOSコマンドを実行させるサイバー攻撃の一種です。これにより、攻撃者はシステム上で任意のコマンドを実行し、機密情報の漏洩やデータの改ざん、システムの乗っ取りなどを引き起こす可能性があります。
仕組み
- 入力の受け取り:攻撃者がWebアプリケーションの入力フィールドに不正なコマンドを入力します。
- コマンドの組み立て:アプリケーションがユーザー入力を含むコマンドを組み立てます。
- コマンドの実行:組み立てられたコマンドがシステムシェルで実行されます。
- 不正な動作:攻撃者の意図した不正なコマンドが実行され、システムに影響を与えます。
被害内容
- 情報漏洩:機密ファイルへのアクセスやデータの窃取。
- データの改ざん・削除:重要なファイルの改ざんや削除。
- 不正プログラムの実行:マルウェアのダウンロードと実行。
- システムの乗っ取り:サーバーの制御権を奪い、他のシステムへの攻撃の踏み台に利用。
防止策
- 入力値のバリデーションとサニタイズ:ユーザー入力を適切に検証し、危険な文字やシーケンスを除去します。
- 外部プログラムの呼び出しを避ける:可能な限り、外部プログラムの呼び出しを避け、内部処理で代替します。
- エスケープ処理:シェルメタ文字(例:;や|)をエスケープして無害化します。
- 脆弱性診断の実施:定期的に脆弱性診断を行い、脆弱性を早期に発見・修正します。
具体的な事例
- ラジオ局の情報漏洩:2016年、FMラジオ局のWebサイトが不正アクセスされ、約64万件の個人情報が流出しました。
- テレビ局の情報漏洩:同じく2016年、日本テレビのWebサイトが不正アクセスされ、約43万件の個人情報が流出しました。
OSコマンドインジェクションは、適切な対策を講じることで防ぐことができます。セキュリティ対策を徹底し、システムの安全性を確保しましょう。