エッジコンピューティングは、データ処理を利用者や端末の近くで行うコンピューティング手法です。従来のクラウドコンピューティングでは、全てのデータをクラウドに送信して処理しますが、エッジコンピューティングでは一部のデータ処理をエッジデバイスやその周辺で行い、必要なデータのみをクラウドに送信します。
仕組み
エッジコンピューティングは、データを収集するデバイス(エッジデバイス)やその近くに設置されたサーバー(エッジサーバー)でデータ処理を行います。これにより、データの送受信にかかる時間(レイテンシ)を短縮し、ネットワークの負荷を軽減します。エッジデバイスには、スマートウォッチ、監視カメラ、ドローン、工場の制御装置などが含まれます。
メリット
- 低レイテンシの実現: データ処理をエッジで行うため、リアルタイム性が求められるアプリケーションに適しています。例えば、自動運転や工場の機械制御など。
- ネットワーク負荷の軽減: 全てのデータをクラウドに送信する必要がないため、通信量を削減し、ネットワークの負荷を軽減します。
- セキュリティの向上: データをエッジで処理することで、クラウドに送信するデータ量を減らし、データ漏えいのリスクを低減します。
- クラウド依存の低減: クラウドサーバーの障害時にも、エッジでのデータ処理が可能なため、システムの信頼性が向上します。
デメリット
- 導入コスト: エッジデバイスやエッジサーバーの設置に初期費用がかかります。
- 運用管理の複雑さ: 分散されたデバイスやサーバーの管理が必要となり、運用が複雑になります。
- セキュリティリスク: エッジデバイス自体のセキュリティ対策が必要であり、適切な対策を講じないとリスクが増大します。
事例
- 自動車のIoT「コネクテッドカー」: 車両内のデータをリアルタイムで処理し、運転支援や自動運転を実現。
- 農業領域でのIT活用「アグリテック」: 農場内のセンサーから収集したデータをエッジで処理し、作物の生育状況をリアルタイムで監視。
- 店舗運営の「デジタルシフト」: 店舗内のカメラやセンサーから得たデータをエッジで処理し、顧客行動の分析や在庫管理を効率化。
- 工場設備をIoT化で「スマートファクトリー」: 工場内の機械やセンサーから収集したデータをエッジで処理し、生産効率を向上。
エッジコンピューティングは、リアルタイム性が求められるアプリケーションやネットワーク負荷の軽減が必要な場面で特に有効です。