極渦(ポーラー・ボーテックス)は、地球の北極や南極付近に存在する大規模な低気圧システムです。これらの渦は、極地方の上空で寒冷な空気が集中し、強力な風の帯(ジェット気流)によって囲まれることで形成されます。極渦は主に冬の間に最も強くなりますが、一年中存在しています。
仕組み
極渦は、地球の自転と大気の温度差によって形成されます。極地方の寒冷な空気が、周囲の暖かい空気と衝突することで、低気圧が発生し、渦が作り出されます。ジェット気流が極渦を取り囲み、渦の中心部に寒冷な空気を閉じ込める役割を果たします。
極渦の強さや位置は、大気の状態や気象パターンによって変動します。特に、北極の極渦が弱まると、寒冷な空気が中緯度の地域に流れ込み、寒波を引き起こすことがあります。
事例
極渦の影響による寒波の例をいくつか挙げます。
- 2014年1月のアメリカ寒波: 北極の極渦が南に拡大し、アメリカ中西部や東部に記録的な寒波をもたらしました。シカゴなどの都市では極寒の気温が観測されました。
- 2021年2月のテキサス寒波: 極渦が南下し、通常温暖なテキサス州に異常な寒波を引き起こしました。これにより、広範な停電や水道管の凍結などの被害が発生しました。
- 2021年冬のヨーロッパ寒波: 極渦の不安定化により、ヨーロッパ各地で異常な低温が観測されました。特に、イギリスやドイツなどで大雪や寒冷な天候が続きました。
これらの事例からわかるように、極渦の挙動は地球全体の気候に大きな影響を与えることがあります。最近の気候変動により、極渦のパターンが変化していることも指摘されています。