システムインテグレーター(SIer)は、企業や組織のニーズに応じて情報システムを設計、構築、導入する専門家です。システムインテグレーション(SI)とは、システムの開発や運用を一括して請け負うサービスを指します。
歴史
システムインテグレーターの歴史は1987年に遡ります。当時の通商産業省(現・経済産業省)が「システムインテグレーション認定制度」を創設し、これがSIerの始まりとなりました。1990年代には、企業の情報システム部門が主導していたシステム開発が外部のSIerにアウトソーシングされるようになり、多くのSIerが誕生しました。
役割と業務内容
SIerの主な役割は、以下の通りです:
- システム開発と設計:企業や官公庁からの受託を受け、要件定義、設計、テスト、運用までの一連の開発作業を行います。
- システム運用と保守:開発したシステムの運用や保守を行い、正常に動作しているかを監視し、不具合が発生した場合には修正作業を行います。
- 経営戦略のコンサルティング:ITの導入や活用に関するアドバイスやコンサルティングを提供し、最適な課題解決策を提案します。
- システムインテグレーション:既存のシステムやアプリケーションを組み合わせ、システム全体としての運用を行います。
- セキュリティ対策:情報セキュリティ対策の支援を行い、情報漏洩や不正アクセスのリスクを低減します。
必要なスキル
SIerとして成功するためには、以下のスキルが求められます:
- IT技術の専門知識:ハードウェア、ソフトウェア、ネットワーク、データベースなどに精通していること。
- コミュニケーション能力:クライアントのニーズや課題を正確に理解し、技術的な提案を行う能力。
- 問題解決能力:システム開発や導入のプロセスで発生するトラブルを冷静に分析し、解決策を提示する能力。
- プロジェクト管理能力:スケジュールやリソースを効率的に管理し、プロジェクトをスムーズに進める能力。
有用な資格
国家資格
- ITパスポート試験:ITの基礎知識を証明する入門的な資格です。
- 基本情報技術者試験:情報処理技術者としての基礎的な知識と技能を証明します。
- 応用情報技術者試験:より高度な情報処理技術者としての知識と技能を証明します。
- システムアーキテクト試験:システムの企画、設計、開発に関する高度な知識を証明します。
- プロジェクトマネージャー試験:プロジェクト管理の知識と技能を証明します。
- データベーススペシャリスト試験:データベースに関する高度な知識と技能を証明します。
ベンダー資格
- マイクロソフトオフィシャルスペシャリスト (MOS):Microsoft Office製品の操作スキルを証明します。
- オラクルマスター:Oracleデータベースの管理スキルを証明します。
- AWS認定:Amazon Web Servicesのクラウド技術に関するスキルを証明します。
- Cisco Certified Network Associate (CCNA):ネットワーク技術に関する基礎的な知識を証明します。
- Linux技術者認定試験:Linuxシステムの管理スキルを証明します。
将来性
システムインテグレーターの将来性は非常に高いとされています。デジタルトランスフォーメーション(DX)の加速やAI、IoT、クラウドコンピューティングなどの先端技術の活用が進む中で、SIerの専門知識と経験はますます重要となっています。