システム・ツールセキュリティ

XDR / Extended Detection and Response

XDR(Extended Detection and Response)は、複数のセキュリティレイヤーからデータを収集し、統合的に脅威を検知・対応するソリューションです。以下にその詳細を説明します。

XDRの概要

XDRは、エンドポイント、ネットワーク、クラウド、メールなど、さまざまなデータソースからログを収集・分析することで、包括的な可視化と自動化された防御を実現します。従来のセキュリティ対策では、個別のツールがバラバラに動作していたため、脅威の全体像を把握しにくいという課題がありましたが、XDRはこれを解決します。

XDRの主な機能

  1. サイバー攻撃の可視化: エンドポイントだけでなく、メール、サーバ、クラウドワークロード、ネットワークなど複数のセキュリティレイヤ全体でサイバー攻撃の全体像を可視化します。
  2. インシデント対応の自動化: セキュリティプレイブック(条件に応じた処理の自動化を設定したスクリプト)を使用して、迅速かつ一貫した対策が可能です。
  3. 攻撃手法の分析: 複数のセキュリティレイヤから収集した情報をもとに、攻撃の全容を明らかにします。

XDRが必要とされる理由

  • サイバー攻撃の複雑化: 近年のサイバー攻撃は複数の段階を経て行われることが多く、個別の対策では検知が難しいため、統合的な対応が必要です。
  • セキュリティ対策の多様化: 企業はエンドポイント向けのEDR、ネットワーク向けのNDR、クラウド向けのCASBなど、複数のツールを導入していますが、これらを統合管理することでセキュリティレベルを向上させることができます。

XDRのメリット

  • 統合的な脅威検知: 複数のセキュリティレイヤからのデータを統合し、包括的な脅威検知が可能です。
  • 効率的なセキュリティ運用: インシデント対応の自動化により、時間とリソースの節約が図れます 。
  • 情報のサイロ化の解消: 異なるセキュリティツール間のギャップを埋め、効果的なセキュリティ環境を構築できます。

XDRは、現代の複雑なサイバーセキュリティ環境において、統合的かつ効率的な脅威検知と対応を提供する重要なソリューションです。

XDR(Extended Detection and Response)とEDR(Endpoint Detection and Response)の違い

XDR(Extended Detection and Response)とEDR(Endpoint Detection and Response)は異なるセキュリティソリューションです。それぞれの違いを以下の表にまとめました。

項目XDR (Extended Detection and Response)EDR (Endpoint Detection and Response)
対象範囲エンドポイント、ネットワーク、クラウド、メールなど複数のセキュリティレイヤを対象とする。エンドポイント(PC、サーバ、スマートフォンなど)に限定。
データ収集複数のセキュリティレイヤからテレメトリデータを収集し、相関分析を行う。エンドポイントからのテレメトリデータを収集し、分析。
可視化サイバー攻撃の全体像を包括的に可視化。エンドポイント上の脅威を可視化。
インシデント対応複数のセキュリティレイヤにわたるインシデント対応を自動化。エンドポイントに対するインシデント対応を自動化。
メリット広範囲のセキュリティ情報を統合し、包括的な脅威検知と対応が可能。エンドポイントの詳細な脅威検知と迅速な対応が可能。
導入の複雑さ複数のセキュリティレイヤを統合するため、導入が複雑。エンドポイントに限定されるため、導入が比較的簡単。

XDRは、エンドポイントだけでなく、ネットワークやクラウドなど複数のセキュリティレイヤからデータを収集し、統合的に脅威を検知・対応するため、より広範囲のセキュリティ対策が可能です。一方、EDRはエンドポイントに特化しており、エンドポイント上の脅威を詳細に検知し、迅速に対応することができます。

どちらのソリューションが適しているかは、企業のセキュリティニーズや環境によります。例えば、広範囲のセキュリティ対策が必要な場合はXDRが適していますが、エンドポイントのセキュリティを強化したい場合はEDRが有効です。

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