PMBOKガイド(Project Management Body of Knowledge Guide)における「プロジェクトマネージャー」の定義は、版によって少しずつニュアンスが異なりますが、一般的には以下のように理解されています。
PMBOKガイド第6版に基づく定義
- プロジェクト目標を達成することに責任をもつチームをリードするために、母体組織が任命する人物です。
- プロジェクト全体に対する責任を持ち、QCD(品質・コスト・納期)を管理し、ステークホルダー(利害関係者)の期待に応える成果物を確実に納品する役割を担います。
- 具体的には、プロジェクトの立ち上げ、計画策定、実行、監視・コントロール、終結といったプロセス群全体を管理し、スコープ、スケジュール、コスト、品質、資源、コミュニケーション、リスク、調達、ステークホルダーエンゲージメントといった様々な知識エリアを統合的にマネジメントします。
PMBOKガイド第7版における考え方の変化
- 2021年に発行されたPMBOKガイド第7版では、従来のプロセス群や知識エリア中心の構成から、「価値提供」に焦点を当てた「12の原則」と「8つのパフォーマンス領域」を中心とする構成へと大きく変化しました。
- これにより、特定の「プロジェクトマネージャー」という肩書きや役割に固定するのではなく、プロジェクトの状況に応じて、チーム全体でリーダーシップやマネジメントの機能を発揮し、価値を創造していくという考え方がより強調されています。
- 例えば、「12の原則」には、「勤勉で、敬意を払い、面倒見の良いスチュワード(管理人・執事)であること」「協働的なプロジェクト・チーム環境を構築すること」「リーダーシップを行動で示すこと」などが含まれており、プロジェクトを成功に導くための心構えや行動指針が示されています。
まとめ
PMBOKガイドにおける「プロジェクトマネージャー」は、プロジェクトの目標達成と価値提供に対して最終的な責任を負い、そのためにチームを主導し、計画、実行、監視、コントロールなどの活動を推進する役割と定義できます。
第6版まではその役割と責任がより明確に記述されていましたが、第7版では、変化の激しい現代のプロジェクト環境に対応するため、固定的な役割定義よりも、プロジェクトの成功に必要な原則や活動領域(パフォーマンス領域)を重視し、チーム全体で価値提供を目指す柔軟なアプローチが示唆されています。